フィクション日記

しょっぱい毎日を生き抜くため、妄想力を鍛えています。

アイドルデビューの過酷な競争をそのまま流す、テレ朝のアイドルオーディション番組「ラストアイドル」がエグアツい

テレ朝の土曜深夜枠で、「ラストアイドル」という秋元康プロデュースによるアイドルオーディション番組があるのだが、これがなかなかにアツい。

 

番組内容は、今年12月に「ラストアイドル」というグループ名でデビューする7人のメンバー枠があり、その枠を巡って毎週公開オーディションが行われるというもの。アイマスラブライブのような「みんなで力をあわせて、がんばろう♪」というフェーズの手前、「メンバーになる」という競争にフォーカスしており、アイドルという夢に少女達が振り回されるエグさやドロドロがそのまま放送されている。

普通のオーディション番組と大きく違うのは、常に暫定メンバーが7人おり、毎週挑戦者としてやってくるメンバー希望者とのパフォーマンスバトルによって、席の奪い合いを行う点だ。

 

バトルの方法もなかなかシビア。

メンバーは立ち位置が決まっており、挑戦者は立ち位置メンバーを指名してタイマンのミニライブバトルを行うが、そのジャッジを行うのはゲスト審査員の中からランダムで選ばれた1名。他の審査員が暫定メンバーを選んだとしても、ジャッジ審査員が新規メンバーを選んだ場合は入れ替わりが起きてしまうのだ。

このジャッジはいわゆる採用なので、就活生は見るといいかもしれない。特にパフォーマンス前後の意気込みトークは、自分の良さを全面に押し出すだけでなく、なぜアイドルを目指しているのかの理由や、対戦相手よりも自分が優れているという表明、自分の弱みを如何にグループで活かそうとするかなど、就活の自己アピールや志望理由に近いものがある。

他人のやることは客観視しやすいので「いや、ここでそのアピールはまずくね?」とか「お、返答の切り口を変えることで、相手を貶める表現を避けたのか」など、参考になると思う。

 

また珍しいルールとして、参加者はプロアマ不問というものがあり、完全な業界未経験者から、現役の別グループアイドルまで間口が広いのも特徴だ。

メンバーや挑戦者の背景も「いくつものアイドルオーディションを受けて、やっとここで受かった」「AKBのドラフトオーディションで最終まで残ったけど、結局指名がもらえずにAKBにはなれなかった」というアイドル浪人生から、「美少女コンテストの最終審査で広瀬すずに負けて準ミス、しばらく普通の勤め人をしてたけど最近の広瀬すずの活躍をみて悔しくなった」「4つのグループに参加していたけど全て解散してしまい、もう年齢的に後がない」というような元アイドルまで、参加者は全員様々な夢や事情を抱えている。

 

そして一番の見どころは、勝敗ジャッジ。

「パフォーマンスを観て、明日から頑張ろうという気分にさせてくれる魅力があった」「技術は負けてるけど、自分のイメージに合った曲の選定や表現方法が素晴らしい」という個性についての評価から、「これはグループプロジェクトなので、メンバーバランスとしての挑戦相手が悪かった」「あなたはピンでも十分活躍できそうなので、今回はメンバー選定という点でこちらを選んだ」という、あくまで組織メインの話まで、理由は様々。またジャッジ審査員1人の独断のみで決まるので、運の要素も相当あるのも目が離せない。

 

挑戦者が勝利した場合、既存メンバーは全員泣き、敗北メンバーとの別れを悲しむ。このシーンの裏にあるのは、次にいなくなるのは自分かもしれないという恐怖心と、これまで一緒に頑張った仲間をクビにした新参者への敵対心なんじゃないかと思う。新たな仲間としての受け入れをどう折り合いをつけているのか、色々と恐ろしい。

逆に挑戦者が敗北した場合、「やっぱり私はアイドルになれない」「応援してくれた事務所のみんなに合わせる顔がない」などと絶望し、地面に崩れ落ちて号泣する。
どちらにせよ、毎週必ず誰かが悲しむことになる残酷な番組である。

 

今週までに8回の放送があり、2回のメンバー入れ替えが起きているため、既に2名のアイドル候補生は数週間で本人の意に反してステージを去っている。

しかも初回の7人は、一般的な数千人のオーディション選考から勝ち抜いているため、その悔しさは挑戦者の比ではないと思う。普通ならそのままレッスンに明け暮れ、デビューという道が約束されているはずが、この番組では一瞬の戦いによってなかったことにされる。10代の少女には非常に過酷な現実だ。

先週まで自分が着ていた衣装を着て、自分が踊っていたポジションに勝負敵がいるのを直視するメンタルは常人にはないだろう。だが敗退したメンバーのリベンジマッチなどがあるかもしれないので、油断はできない。

 

放送期間も折り返しになってきたが、12月メンバーの顔ぶれはまだわからない。

自分の推しメンはまだ残ってくれているので、無事デビューしてくれることを祈る。