フィクション日記

しょっぱい毎日を生き抜くため、妄想力を鍛えています。

妖怪まんじゅう乞食

自分の機嫌が悪いと気づいた時には、基本的に、ホルモンか、天気か、ストレス、そして風水のせいにすることにしている。

特に風水を調べたりはしないけど、「きっと今日は大殺界なんだ」みたいに考えれば、もうどうしようもないと諦められるからだ。理由づけって大事。

 

当然明らかに自分が悪い時には反省すべきだが、なにをしてもうまくいかない時もあるので、そういう時はどうにもならないもののせいにして無駄な抵抗はしない。

そうでもしないとメンタルがもたないから、別に悪いことだとは思っていない。


理由が曖昧だと、原因がわからなくてさらにイライラするし、変に他人のせいにするとよけいややこしくなる。

だから、仕方ないと諦められるもののせいにするのが平和である。

  

そういう意味では、以前子供の間でブームになった妖怪ウォッチはすごい。全部妖怪のせい。

妖怪ウォッチそのものはもう下火なのかもしれないが、妖怪のせいにする風潮は子供達の心のどこかで残るに違いない。

彼らが大人になった時、少しでも辛い状況をユーモラスに考えることができるなら、妖怪ウォッチポケモンなんかよりよっぽどすごいコンテンツだと思う。

 

妖怪まんじゅう乞食と自称していた。

 

 

先日上期の営業目標達成で、社食でお祝いの紅白まんじゅうが配られた。

オフィスに戻ると、そのまんじゅうをもらって帰る人を狙い、片っ端から声をかけている人がいた。徹夜3日目の先輩だった。

食堂に行く時間はないが、糖分を取らないと頭が回らない。

 

自分のことを 妖怪まんじゅう乞食と言う先輩は、まんじゅう乞食なら仕方ないという理由でみんなからまんじゅうを恵んでもらっていた。

微妙にまんじゅうを楽しみにしていた自分も例に漏れず、思わず差し出してしまった。

 

妖怪だもの、仕方ない。